なぜかK君はちょっとマニアックなのを買ってた気がする
続けて思い出したのはよりによってちょっと恥ずかしい思い出。
これもAI君が良く書けてる。投げたキーワードが結構具体的だったからなのかな。
まぁ割といい感じにフィクションもまざってて。
K君のキャラはあんまり似てないwww
山の上の自販機
中学二年の夏。
その年の俺たちは、やたらと「未知の世界」を求めていた。
理由は分からない。ただ、教科書の外側にある何かに触れたかったのだと思う。
その最たる象徴が――山の上のエロ本自販機だった。
噂は前からあった。
「○○峠の途中にあるらしい」
「夜になると光ってるらしい」
「トラックの運ちゃんしか行かない」
そんな都市伝説めいた話を、俺とK君は何度も繰り返し検証した。
K君は俺の超親友だった。
スポーツ万能でもなく、勉強もそこそこ。でも妙に肝が据わっている。
そして何より、くだらないことに全力だった。
「行くか」
ある日の夕方、K君が言った。
俺は即答した。
「行くしかないだろ」
自転車という戦車
夕暮れ時。
俺たちはそれぞれママチャリにまたがり、山道へ向かった。
昼間に通るとただの田舎道なのに、夕方になると別世界になる。
田んぼの匂い、ヒグラシの声、長く伸びる影。
舗装はされているが、街灯はほとんどない。
「マジであるのかな」
「なかったら帰りにアイスおごりな」
しょうもない賭けをしながら、ペダルを踏む。
坂道がきつくなり、会話が減る。
息が荒くなる。
やがて、木々の隙間の向こうに――
光。
ポツン、と。
蛍光灯の白い光が、闇の中に浮かんでいた。
「あれだ…」
声が自然と小さくなる。
蛍光灯と虫と、ど派手な表紙
近づくにつれ、その存在感は異様だった。
山の中腹。
周囲は真っ暗。
なのにそこだけが、コンビニの入り口のように明るい。
蛍光灯には無数の虫がぶつかっていた。
ジジジ、と羽音が響く。
そして、自販機のガラス越しに並ぶ――
ど派手な表紙。
原色。
大きな文字。
見たことのない世界。
俺の脳内がスパークした。
「……やばくね?」
K君が小声で言う。
「やばい」
語彙力は消えた。
別に誰も見ていない。
山の中だ。人影はない。
なのに、なぜか心臓が爆音で鳴る。
手のひらが汗ばむ。
無言の共同作業
「どれにする?」
「任せる」
「いや任せるって」
押し付け合い。
ガラス越しに眺めるだけで十分刺激が強い。
だが、ここまで来て何も買わずに帰るという選択肢はない。
K君が財布を取り出す。
千円札を伸ばす手が、わずかに震えている。
「早くしろって」
「分かってる!」
ガタン。
商品が落ちる音が、やけに大きく響いた。
俺たちは同時に辺りを見回す。
誰もいない。
なのに、見られている気がする。
K君が素早くそれをカバンに押し込み、
俺たちは何も言わずに自転車へ戻った。
無言の下山
山を下る。
行きとは逆に、今度はブレーキを握るだけ。
風が顔に当たる。
誰も喋らない。
笑いたいのに笑えない。
興奮しているのに冷静を装う。
ようやく麓に近づいた頃、K君がぽつりと呟いた。
「今、俺ら大人になったよな」
「いや、まだ中二だろ」
少しだけ笑いが戻る。
そしてオチ
町に戻り、人気のない公園に自転車を停めた。
「どうする?」
「とりあえず、Kんちで見るか」
K君の部屋は二階。
親はまだ帰っていない時間のはずだった。
階段をそっと上がる。
ドアを開ける。
「ただいまー」
その瞬間。
「おかえり」
リビングから聞こえる声。
K君の母ちゃんだった。
予想外の早帰り。
「今日早いね」
K君が裏返った声で言う。
「仕事早く終わったの。ご飯もうすぐできるよ」
終わった。
俺たちは目を合わせる。
カバンの中には、山の上の戦利品。
どうする。
「……先、宿題やっとくわ」
K君は不自然な速さで二階へ向かった。
部屋に入った瞬間、二人同時にカバンを開ける。
中身は――
ぐしゃぐしゃ。
虫が一匹、挟まっていた。
しかも、落下の衝撃か何かで、角が思いきり折れている。
沈黙。
数秒後。
俺たちは腹を抱えて笑った。
あんなに命がけで手に入れたのに。
山の上の蛍光灯の下では神々しく見えたのに。
今はただの、ちょっと折れた雑誌。
しかも母ちゃんは下で味噌汁を作っている。
K君が言った。
「これ、なんか……思ってたのと違うな」
俺も頷いた。
「山の上でピークだったな」
あの夜、俺たちは結局ほとんど中身を見なかった。
なぜなら、常に「母ちゃん階段上がってくるかもしれない」という緊張感があったからだ。
後日談
数日後、例の自販機は撤去されたという噂が流れた。
真偽は分からない。
だが俺たちにとって大事だったのは、あの物体そのものではなかった。
山道を自転車で登ったこと。
蛍光灯の下で虫に囲まれたこと。
無言で下山したこと。
あの「未知の世界」に踏み込んだ瞬間こそが、冒険だったのだ。
今思えば、あれはただの自販機だった。
でも中二の俺たちにとっては、
ダンジョンの最奥にある宝箱みたいなものだった。
そして宝箱の中身よりも、
そこへ辿り着くまでの道のりのほうが、
ずっと強烈に記憶に残っている。
山の上の蛍光灯は、
今でもたまに夢に出てくる。
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